千葉市かずInc.(名もなきライターのブログ)

2018年は思想の最前線を追いかけていきます。すっころんだらご容赦を。連絡先:namonakiwriter@gmail.com

ブラックフェイスどころか童貞いじりもヤリマン呼ばわりも笑えない。そんな時代のユーモアとは?

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「ブサイクや貧乏、生まれもって変えられないものを馬鹿にする笑いは古い」

 

テレビでにゃんこスターがそんなことを言っていました。これは時代の感性を的確に捉えた表現ではないでしょうか。ブサイク、貧乏、バカならまだしも、大晦日にハマちゃんが顔を黒塗りにして黒人のマネをする、通称ブラックフェイスをやらかしてしまいました。

 

 

生まれ持った肌の色をいじるというブラックフェイス問題

 

大晦日はテレビでガキの使いを観ており、ブラックフェイスは私もまずいだろうと思いました。私はゲッツ板谷さんというお笑いライターが好きで本を持っていますが、その中に黒人の友達に対し、ゲッツ氏の父親が「おい!暗がりじゃ見えないな!」と発言し、黒人青年が「板谷くんのお父さんじゃなかったらボコボコにして遺体の上でココア飲んでるところだよ」と悔しがっていた、というエピソードがあります。

 

 

生まれ持った肌の色をいじるというのはそれだけセンシティブなテーマです。この板谷氏のエピソードは10年以上前の話。未だにテレビでブラックフェイスをやらかすこと自体、ほんとうに信じがたいことだと思いました。

 

いつも偉そうなダウンタウンが、お尻を蹴られて悲鳴を上げる、昔はそこが面白かったはずです。しかしもう、そうした笑いも古くなりつつあるのかもしれません。

 

童貞いじりやヤリマン呼ばわりってそもそも面白い?

 

話はネットシーンに飛びますが、昨年末は日本でも#Metooのムーブメントが盛り上がりました。セクハラ・パワハラなど言語道断です。しかしその一方で、ネット界の有名人による「童貞いじり」と「ヤリマン呼ばわり」もセクハラではないかと話題に。

 

セクハラかどうか明らかですし、そもそもこれ、笑いとしてまったく面白くないですよね。「童貞的な感性きてるよね」「君ってヤリマンみたいな顔してるよね」これのどこが面白いんでしょうか。そもそも他人のジェンダーセクシャリティをいじくって笑うこと自体が、時代遅れです。

 

いじって笑う、いじられて「おいしい」という。これは笑いの構造的に権力を内包しています。力関係があり、力の強いほうが一方的に笑うという話。自分の身に置き換えてみましたが、「ヤリマンみたいだね」とかいわれたら「は、はあ」としか思えません。笑っているのはいじった本人と取り巻きだけ。いったい何が面白いのでしょうか。

 

多様性の時代。これからはさらにいろいろな人とグローバルに関わるようになるでしょう。そんな中、こんな古いユーモアセンスを持っていて、果たしてやっていけるのでしょうか。

 

こんな窮屈な時代に、笑えるものって何?

 

しかし人権に配慮した言動は非常に窮屈だと感じる人もいるでしょう。いじって笑う、それは実のところ、テレビの影響を大きく受けています。民放がいじる笑い、傷つけるバラエティ番組を作るからこそ、そしてお笑い界の縦構造をそのまま若い人が参照し、こうしたいじる笑い、(こちらから見れば)くだらない笑いが残っているのではないでしょうか。

 

ではそんな時代に、面白いものとは何なのか、私が最近もっとも笑ったのは、米国ドラマ『BONES』のこのシーンです。BONESは天才科学者が骨から犯罪を読み解いていくドラマで、ユーモアも多分にあり相当クオリティが高くなっています。そのBONESで、

 

男「(デートに関して)美しくて知的な女性を探していて・・・」
博士「あら私、知的よ?」

 

というシーンがありました。ここで私は大爆笑。一緒にみていた友達は「???」となっていました。なぜ面白いか。それはBONESの笑いが相対性の笑い、だからではないでしょうか。自分を美しく、天才だと思ってる空気の読めないキャラが強調されたシーンで、キャラクターが相対化され、笑いになるということです。

 

相対性の笑い。だからこそどんな肌色の人でも笑えるし、どんどんキャラクターが新しく登場する。それがアメドラの強さではないでしょうか。もちろん、アメリカ基準で日本を裁こうとは思いませんし、BONESの何が面白いねんと感じるかもしれません。

 

 

しかし、誰かの心を傷つけてでも強い立場の自分だけが笑いたい、という笑いよりはよほどマシではないでしょうか。お笑いと人権は相反するものではなく、両立するはずです。冒頭のにゃんこスター発言をかみしめながら、新しい時代のスターを待っています。

 

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